GLOSSARY
木工用語は、馴染みがないかたが多勢と思います。
そこで、図解を多用し用語の説明をした木工用語集 (glossary) を作りました。
順次追加をしていきますので、ご利用願います。
なお解説の文中でボールドで記載されている用語は、この木工用語集 (glossary)内に解説している用語となっています。
なお下記の索引の各用語をクリックしていただくと、個別の説明項目にとびます。
[ ご参考 ]
用語集を機能的に構築するため、用語集のみに特化した下記のホームペイジを新規に開設しました。
内容は本ホームペイジのGlossaryと同一ですが、用語の探索が容易になっています。
⇒ 木工用語集 Glossary(木木木の工房 INFINITY)
アルファベット:
あ~お:
蟻(あり)
か~こ:
肩付き片胴付き大入れ接ぎ(かたつきかたどうつきおおいれつぎ)
さ~そ:
た~と:
な~の:
は~ほ:
ま~も:
や~よ:
ら~ろ:
アルファベット
●MDF
medium density fiberboardの略です。
日本語では、中密度繊維板と呼びます。
木材その他の植物繊維を主原料として、これをパルプ化し接着剤を加え成形した板状製品である繊維板(ファイバーボード、fiberboard)の一つです。
JISでは上記繊維板を密度で3種に分類しています。
すなわち、インシュレーションファイバーボード(密度0.35g/cm^3未満)、MDF(密度0.35g/cm^3以上)、ハードファイバーボード(密度0.8g/cm^3以上)の3種です。
MDFは、その密度は木材と同程度であり木材が持つ異方性が無いため反りや割れがなく均質であることが最大の特徴と言えます。
半面強度が強くないため構造材には用いられず、断熱性、遮音性、厚みが要求されるような家具用途です。
例えば、家具の扉、側板、背板、スピーカーキャビネットなどです。
●SPF
spruce, pine and fir lumberの略です。
すなわち、スプルース(エゾ松)、パイン(松)、ファー(モミ)を区別なく販売している北米産の木材商品の略称です。
北米では自然林が上記の3種類の木材が混在している状態であるようです。
このような自然林から、木をイッサイガッサイ伐採し識別する手間を省きそのまま製材し販売し、コストを下げてます。
このため、商品には3種の材が混在することになります。
もちろん入手するSPF商品は、スプルース(エゾ松)、パイン(松)、ファー(モミ)のいずれになるかは選択できませんが、無垢材であることは間違いありません。
よくホームセンターなどでツーバイフォー材として売られているものです。
あ~お
●上げ底
上げ底とは、抽斗などの箱物の底部の構造方式に関する用語です。
Photo. 1 をご覧ください。
ここでは、手前の前板を除いて抽斗の2枚の側板と先板と底板を図示しています。
前板、先板の底部に溝を掘り込み、その溝に底板をはめ込む構造方式となっています。
この構造では、底板は側板、先板、前板の各底部より上位に来ますので上げ底という名称となります。
こうすることで、底板の耐荷重は増強するとともに側板、先板、前板で構成する箱の強度も増強します。
他方、上げ底に対してベタ底という構造方式があります。
この方式では、溝を掘らずに側板、先板、前板の底部に底板を釘やビスなどで固定する方式です。
この方式では、底板の耐荷重性能は上げ底より劣ります。
溝を掘る必要が無く、コスト的には有利となります。
Photo. 1 上げ底 (写真引用:https://sakuyakonoha.com/woodcraft/kids-desk-and-bookshelf-4/)
●脚物(あしもの)家具
脚物家具とは、イス、テーブルなどのように脚の付いた家具とお考えください。
ソファ、ベッド、ベンチ、スツールも含まれます。
Photo. 1 にイスを例にして、脚物家具の各部材の名称を示します。
基本的には、4本の脚、4本の幕板、4本の貫(ぬき)、背板、座面から構成されています。
各部材の本数は、全体の機械的強度の関係で増減いたします。
なおテーブルは、イスを構成する脚、幕板、貫そして座面の代わりに天板(甲板)から基本的に構成されます。
Photo.1 脚物家具の各部材の名称 (写真引用:http://cadiy3d.com/wp/archives/5016/)
⇒ 製品例:ソファー用サイドテーブル:四方十字組手の応用
●あられ組接ぎ
組接ぎは2枚組接ぎから始まり、そのあと組数が3枚組接ぎ、5枚組接ぎ、7枚組接ぎと奇数で増えていきます。
7枚組接ぎより先の組接ぎは、ほぞ幅が板厚より小の組接ぎは刻み組接ぎあるいは石畳組接ぎとよび、またほぞ幅が板厚より大の組接ぎはあられ組接ぎと呼びます[L1]。
Photo. 1にあられ組接ぎの例を示します。
ほぞ数を数えると17個ありますので17枚組接ぎと呼ぶこともできます。
ほぞ幅が板厚より大であることがPhoto.1 の右写真 から推測されます。
Photo. 1 あられ組接ぎ(写真引用:http://hedghog.seesaa.net/category/18152487-1.html)
左:くみ上げた様子、右:加工途中
●蟻(あり)
蟻とは日本の伝統的建築に使用されている基本的継手(つぎて)・仕口(しぐち)です。
蟻は、2本の角材を直線状に接ぐ継手(つぎて)あるいは直角に接ぐ仕口(しぐち)として使用されたものです [L2]。
Figure 1 は、直角に接ぐ仕口(しぐち)を示しています。
角材Bの突起した楔状の枘(ほぞ)部を蟻と呼んでいます。
他方角材Aの嵌め合い部は、蟻穴と呼びます。
蟻である楔状の突起物(枘)の木口の形状は矩形であり、角材Bの面の形状が台形であることに十分注意してください。
なおなぜFigure 1の楔状の突起物(枘)を蟻と呼んだのかに関しては、MyBlog/スツール兼サイドテーブルをせいさくしました:蟻組接ぎに関しての疑問!!!をご覧ください。
Figure 1 蟻と蟻穴
● 蟻形吸付き桟接ぎ(ありがたすいつきざんつぎ)
テーブルなどの天板の木目(繊維方向)と直角に蟻形の溝を掘り、蟻形の桟木をはめ込む接手を蟻形吸付き桟接ぎ(ありがたすいつきざんつぎ)といいます。
これにより天板のそりを防止することができます。
Figure 1 をご覧ください。
Figure 1 蟻形吸付き桟接ぎ(ありがたすいつきざんつぎ)(写真引用:https://kagu-diy.com/diy/mokkou/sori)
●蟻(あり)組み接ぎ
組み接ぎにおいてほぞを楔状にして、一方からだけしか抜き差しできないようにした接手です。
蟻組接ぎの一例をFigure 1 に示します。
Figure 1 蟻組接ぎの一例
次に嵌め合う前の状況をFigure 2 に示します。
ここで注意すべきことは、板材Aの突起物の木口形状は台形ですのでこの部分を蟻というのは間違いです。
他方、板材Bの突起物の木口形状は矩形でありその面の形状が台形ですので、この部分が蟻というのが正しいと考えられます。
この辺りの事情は、MyBlog/スツール兼サイドテーブルをせいさくしました:蟻組接ぎに関しての疑問!!!をご覧ください。
Figure 2 蟻組接ぎの嵌め合う前の状況:蟻を示しています。
● 板矧ぎ(いたはぎ)
すり合わせ矧ぎを参照。
●板目
幹軸に平行でかつ幹軸を含まない面に出現する木目を板目と呼びます。
多くは山形の複雑な模様が出現します。
また丸太を板目が出るようにカットした板を板目と呼ぶこともあります。
Photo. 1 を参照ください。
Photo.1 板目と柾目(写真引用:https://www.mituyasu.com/crust/1039)
●芋接ぎ(いもつぎ)
すり合わせ矧ぎ(すりあわせはぎ)と同じ。
●上端留め(うわばとめ)あられ組接ぎ
あられ組の前面を留めにした接手です。
あられ組ではなく5枚組接ぎにした上端留め5枚組接ぎの例をPhoto.1 に示します。
5枚組接ぎの前面(人から見える箇所)を留めにした例です。
Photo.1 上端留め5枚組接ぎ(写真引用:https://blog.goo.ne.jp/koss05/c/e3299f27fc7c7768e68080b6d07e2084/3)
●上端留め(うわばとめ)3枚組接ぎ
3枚組接ぎの前面を留めにした接手です。
Photo.1 に示します。
Photo.1 上端留め3枚組接ぎ(写真引用:http://ogachan819.blog.fc2.com/blog-category-2.html)
●大入れ接ぎ(おおいれつぎ、おいいれつぎ)
板Aに板Bの厚さtと同じ幅の溝をつけそのまま組み込む接手です。
大入れ接ぎの溝の深さdは、板厚tの1/3~1/2程度です。
大入りは、「尾入れ」に由来するようです [大辞林 第三版]。
Photo. 1 大入れ接ぎ
●追い入れ接ぎ(おいいれつぎ)
大入れ接ぎと同意となります。
●折敷(おしき)
折敷とは、精選版日本国語大辞典によれば " 檜の片木(へぎ)で作る角盆。食器などを載せるのに使った[1] " と記載されています。
折敷とよく似たお盆は、同辞典によれば " 浅い縁のある、物をのせて運ぶための板状の具。材質は木、金属、プラスチック、竹などで、形も方形、円形など種々ある[2] "
と記載されています。
この定義はかなり狭義に規定していますが、両者の差異をきわだたせるのには好都合です。
つまりは、折敷とは盆のカテゴリーに含まれます。
しかしながら、材質は桧材(木材)で形状は角形でありかつまた物を乗せて運ぶような使用はしない食器など載せるために使用する盆と規定されます。
[2]: https://kotobank.jp/word/%E7%9B%86-134950
か~こ
●回転型4方十字組手(かいてんがたしほうじゅうじくみて)
Photo.1 をご覧ください。
正方柱状の角材3本から構成された4方十字組手です。
組み上げの際に角材の1本を回転する操作があることから回転型と呼んでいます。
なお回転型4方十字組手の原理に関しては、 MyBlog (⇒ 回転型4方十字組手(3本組木)技法の原理) に詳しく解説していますのでご参照ください。
Photo.1 回転型4方十字組手
●欠込み(かきこみ)
接合する2材のうち、一方の材はそのままに、他方の材のみを欠き込んで作る場合に欠込みといいます[L2]。
Figure. 1 をご覧ください。
継手仕口の基本形です。
この用語集で十字相欠き接ぎ手を解説していますが、十字相欠き接ぎ手では接合する2材を両方欠き込んで作っています。
この十字相欠き接ぎ手の一方の材は欠き込んでいない場合を想像してください。
その場合が欠込みとなります。
十字相欠き接ぎでは、2材が接合した際には面一となります。
しかし欠込みでは、2材は面一とはなりません。
Figure. 1 欠込み
左:接合前の2材、 右:接合後の2材;面一にならない
他方欠込みでは、一方の材が未加工となりますので接合を外した際には見栄えが良いという利点があります。
従いまして、接合を脱着するような用途での家具では利用すべき特徴を呈してきます。
Figure. 2 をご覧ください。
製品例のボビンラックでは脱着可能な脚にこの欠込みを適用しています。
⇒ なお欠込みを適用した製品例のボビンラックの詳細は、ボビンラックの製品例詳細情報をご覧ください。
Figure. 2 欠込み:製品例のボビンラックの脚部への適用例
●柿渋(かきしぶ)
柿渋は平安時代から使用されている日本固有の伝統的な材料です。
(1) 製法:「渋柿を圧搾し、搾汁から製造する方法」と「渋柿に加水、腐熟させる方法」の2種類があります。
製造法によってカキタンニン含有量が異なるので、用途や柿の品種(地域)によって異なります。
(2) 効能化学成分:渋柿中の柿タンニンが発酵過程で酸化・重合化したポリマーです。
(3) 効能:耐摩耗性、耐水性、防水性、撥水性、防腐性など多岐にわたります。
(4) 用途:木材・紙の塗料、布の染色剤の他、サプリメント、医療、金属捕捉剤、ガス補足材などの用途があります。
[参照サイト]
●肩付き片胴付き大入れ接ぎ(かたつきかたどうつきおおいれつぎ、-おいれつぎ)
片胴付き大入れ接ぎの男木のほぞの片側を除去し全面胴付きとし(この部分を肩と呼ぶ)、それに応じて女木の溝を除去した組手を肩付き片胴付き大入れ接ぎ(かたつきかたどうつきおおいれつぎ、-おいれつぎ)と呼びます。
この組手により見付からほぞが見えなくなりすっきりとした外観となります。
Photo. 1をご覧ください。
この仕口を肩欠き片胴付き大入れ接ぎと呼ぶこともあります。
男木の木口の木端付近の部位を肩と規定しそこにほぞを欠いてることから肩欠きと呼ぶのではないかと推察されます。
いっぽう小口の木端付近の部位のほぞがない部位を肩と規定すると肩付きと呼ぶのではないかと推察されます。
要は肩という術語の定義の差異により呼称が変わるものと考えられます。
Photo. 1 肩付き片胴付き大入れ接ぎ(かたつきかたどうつきおおいれつぎ)
左:男木と女木の構造、 右:嵌め合い
●片胴付き(かたどうつき)
ほぞの一種です。
Figure 1 をご覧下さい。
図中Aで指示してますフラットな面を胴付きとよびます。
図中Bで指示しています直方体の部分をほぞ(枘)と呼びます。
片胴付き(より正確には片胴付き平ほぞ)は、ほぞ1個と胴付き1個の最もシンプルなほぞの構成となっています。
2方胴付きを両胴付きというのに対して、胴付きが1個であるので片胴付きと呼ぶと考えられます。
Figure 1 片胴付き(かたどうつき)
●片胴付き大入れ接ぎ(かたどうつきおおいれつぎ、-おいれつぎ)
板材と板材との接合に用いる接手です。
Figure 1 をご覧ください。
写真左のように、板Aの内側の側面に溝をつけ、もう一方の板Bに片胴付きを付けます。
写真右のように、板Aと板Bをはめ合わせて接ぐ仕口です。
箱組に適用されるものです。
Figure 1 片胴付き大入れ接ぎ(かたどうつきおおいれつぎ、-おいれつぎ)
●側板(がわいた):箱物の構成、抽斗の構成ご参照
●框(かまち)
今あなたは自宅の室内にいるとお考えください。
身の回りの木製品として、木製家具があり、お部屋の仕切りにはドアがあり、あるいは和室であれば障子あるいは襖があるかもしれません。
木製家具には戸、例えば開き戸、扉、引戸があるでしょう。
これらの家具製品の戸あるいは建具のドア、障子、襖は、木製の矩形の木枠から構成されています。
これらの矩形の木枠は、おおむねこれから述べます框の構造を取っています。
つまり和の家具・建具の核心は、これから述べます框ともうしあげても過言ではありません。
Photo.1 をご覧ください。
框は、基本的には4本の角材から構成されます。
4本の中で、鉛直方向の2本を縦框(たてかまち)水平方向の2本を横框(よこかまち)と呼びます。
縦框と横框は、かまちの用途により各種の仕口で接合されます。
Photo. 1 框
●基本方向
さて木材には基本方向が存在します。
Photo. 1 をご覧ください。切株の写真です。
この写真に示しますように、3種類の基本方向が存在します。
1)軸方向、幹軸方向、繊維方向:longitudinal direction
2)放射方向、半径方向:radial direction
3)接線方向:tangential direction
基本方向が問題になるのは、木材が湿気で膨張する現象、すなわち膨潤においてです。
木材の膨潤の程度がこの基本方向で差異が出るため、すなわち異方性があることに注意を払う必要が出てきます。
次に板目材と柾目材を例に挙げて、それぞれの板材の基本方向がどうなっているかを検討してみましょう。
Photo. 2 をご覧ください。
板目にしろ柾目にしろ、次のように要約できます。
1)軸方向:木目の走る方向、通常の板材の長さの方向
2)接線方向:木目と直交する方向、通常の板材の幅の方向
3)放射方向:通常の板材の厚さ方向
Photo. 2 板目材と柾目材での基本方向(写真引用:http://wp1.fuchu.jp/~kagu/siryo/mokuzai.htm)
●木端矧ぎ(きわはぎ)
すり合わせ矧ぎを参照。
●組木(くみき)
接着剤・釘・金物などを使わずに3次元的(立体的)な幾何学的構造を形成する木工技法のこと、またはその3次元的(立体的)な幾何学的構造のことです。
木と木の交差する箇所には様々な継手、仕口(接手)の技法が適用されています。
組木は、木造建築物が発達したアジアにおいて発展したものです。
日本では神社仏閣といった伝統建築物において発達してきました。
組木は接着剤・釘・金物などを使わないため分解が可能であり、また再生する際には立体造形の知的要素が要求されます。
そのため、立体パズルとして商品化されているものもあります。
●組子(くみこ)
釘を使わずに木で2次元的な幾何学構造を形成する日本独自の木工技法のこと、またはその2次元的な幾何学構造のことです。
幅5mm前後に挽割りした木材に溝・穴・ホゾ加工をして2次元的な幾何学構造を実現します。
この組子は、主として欄間衝立・間仕切り・引戸・障子・書院障子などの建具の構成に適用されます。
また純和風のインテリアとして、行燈・鍋敷き・コースターなどにも組子が採用されています。
組子が適用される材としては、主として杉・桧などの柔らかい細工が容易なものです。
組子は日本各地に伝統技術として受け継がれていて、特に岐阜県の飛騨組子、栃木県の鹿沼組子、福岡県の大川組子が知られています。
●組手(くみて)
木材同士を90度つなぐ場合を組手と呼びます。
●木口(こぐち)
幹軸に垂直な断面を木口と呼びます。
Photo. 1 をご覧ください。
板材の場合の木口を図示しています。
柾目、板目いずれの場合も、幹軸に垂直な断面、すなわち木口には年輪が出現します。
幹軸に平行な方向を繊維方向と呼びます。
柾目、板目いずれも板材の長手方向が繊維方向となります。
なお、板材の繊維方向に平行な側面を木端(こば)と呼びます。
Photo. 1 木口と木端、繊維方向:幹軸との関係(写真引用:http://wp1.fuchu.jp/~kagu/siryo/mokuzai.htm)
●木端(こば)
木口(こぐち)を参照してください。
さ~そ
●3本組木:4方十字組手ご参照
●3枚組接ぎ
板と板の接合手法の一つです。
Photo.1 に示しますように、板幅を木口端で三等分して互いに欠き取り、組み合わせる接手です。
Photo. 1 3枚組接ぎ (写真引用:http://masakobo.otemo-yan.net/e729111.html)
●先板:抽斗の構成ご参照
●地板(じいた):箱物の構成ご参照
●仕口(しくち、しぐち)
木材同士をつなぐ場合、同一方向の木材をつなぐ部分を「継手」(つぎて)、90度というのが典型ですが異なる方向の木材をつなぐ部分を「仕口」(正式にはしぐち、俗にはしくち)と呼んでいます。(引用:http://mokuzai.nomaki.jp/newpage5.html)
なお後者を「接手」(つぎて)とも呼びます。
前者と音が同じで紛らわしいのでご注意ください。
仕口の中で特に木材同士を90度つなぐ場合を組手と呼びます。
仕口も接手も英語表現では、joint or connection となります。
●4方十字組手(しほうじゅうじくみて)
3本の角材をすべて直角に交差するようにした3次元的組手です。
四方どの方位から見ても十字状になることから、4方十字組手と呼んでいるものと考えています。
四方十字組手には、回転型四方十字組手とスライド型四方十字組手があります。
なお4方十字組手を3本組木と呼ぶこともあります。
●4方桟蓋(しほうさんふた)
Photo.1 に示すように蓋の裏側に桟を4方に取り付けた蓋を四方桟蓋と呼びます。
photo.1 四方桟蓋(写真引用:http://kasukabe-kiribako.com/about/explanation/classify.html)
●十字相欠き接ぎ(じゅうじあいかきつぎ)
長さ方向には相手の角材の幅wだけ、また深さ方向には板厚tの半分 d=t/2 を欠き取り、互いに直交させ十字に嵌め合い組む接合です。
Photo.1 をご覧ください。
厚みが同一であれば、幅の異なる角材同士でも十字相欠き接ぎは可能です。
Photo. 1 十字相欠き接ぎ
左:d=t/2; t=板厚、 中:角材Aを裏返す、 右:嵌め合わす
●スライド型四方十字組手
Photo.1 をご覧ください。
矩形柱状の角材3本から構成された4方十字組手です。
組み上げの際に角材の1本を並進(スライド)する操作があることからスライド型と呼んでいます。
なおスライド型4方十字組手の原理に関しては、 MyBlog (⇒ スライド型4方十字組手(3本組木)技法の原理) に図解で詳しく解説していますのでご参照ください。
Photo. 1 スライド型4方十字組手(3本組木)
●スライド蓋
Photo. 1に示しますように、本体に溝を入れ水平方向に蓋をスライドすることで開閉する方式の蓋をスライド蓋と呼びます。
⇒ 適用製品例:ティッシュケース
Photo.1 スライド蓋(写真引用:http://kasukabe-kiribako.com/about/explanation/classify.html)
●すり合わせ矧ぎ(すりあわせはぎ)
板材の木端と他の板材の木端を接着剤を塗布して接合することをすり合わせ矧ぎ(すりあわせはぎ)あるいは芋接ぎ(いもつぎ)と呼びます。
すり合わせ矧ぎの目的とは、板幅の板幅の狭い板材を複数接合し幅広の板材を得ることです。
同一の樹種で同一の板幅の板材を接合するのが普通です。
板材の木端と他の板材の木端を接合することを一般的には木端矧ぎ(きわはぎ)あるいは板矧ぎ(いたはぎ)と呼んでいます。
この木端矧ぎには、すり合わせ矧ぎの他に斜め矧ぎ、相欠き矧ぎ、雇い核矧ぎ(やといざねはぎ)、本核矧ぎ(ほんざねはぎ)などの種類があります。
なお木端矧ぎ全般的な問題として、接合する板材の木表と木裏の配置の問題があります。
Photo. 1 をご覧ください、この例は板材4枚を木端矧ぎして天板を作る場合の一例で木表と木裏を交互に配置しています。
この配置のパターンとしては、下記の3種類となります。
(1)表地に木表を配置する
(2)表地に木裏を配置する
(3)表地に木表と木裏を交互に配置する
この木表と木裏の配置は、木端矧ぎして製作した天板の経年変化による天板の変形のみならず天板の表地の木目模様の審美的要素に関わってきます。
これに関しましては、様々な観点から議論がありますが2例として下記のサイトを引用しますので詳細はあたってみてください。
[1]:家具職人入門
[2]:T's 韓国日記
Photo. 1 すり合わせ矧ぎの1例:木表と木裏の交互配置(写真引用:家具職人入門)
●繊維方向
木材を構成する細胞は、樹木の幹軸の方向に長く伸びた形状をしています。
木材の繊維方向とは、幹軸の方向を指します。
板目では木目の方向となります。
●底板:抽斗の構成ご参照
た~と
●棚板:箱物の構成ご参照
●ダボ接合
板と板の接合の手法です。
木製の円柱状のダボを介して、Photo.1 に示しますように板どうしを接ぎます。
ダボの穴は、ドリルであけます。
Photo. 1 ダボ接合 (写真引用:http://kagusi.com/archives/3943189.html)
●段欠き(だんかき)
Photo.1 に示しますように、板材の木口をL字型の段差に切り取る加工を段欠きあるいは欠き取りと呼びます。
写真は板材の木口を段欠きしていますが、板材の木端を段欠きする場合もあります。
写真のようにトリマー、ルータ、テーブルソーなどを用いて機械加工できます。
他方手加工の場合は、鋸及びきわ鉋などを用います。
Photo.1 段欠きあるいは欠き取り(写真引用:https://www.btmt.jp/hpgen/HPB/entries/41.html)
●接手(つぎて)
木材同士をつなぐ場合、同一方向の木材をつなぐ部分を「継手」(つぎて)、90度というのが典型ですが異なる方向の木材をつなぐ部分を「接手」(つぎて)と呼んでいます。
前者と音が同じで紛らわしいのでご注意ください。
なお後者を「仕口」(正式にはしぐち、俗にはしくち)とも呼びます。
仕口も接手も英語表現では、joint or connection となります。
●包蟻(つつみあり)
抽斗(ひきだし)の前板と側板の接合によく使用される仕口です。
側板の蟻型をしたほぞの長さを前板の板厚の2/3程度と短くし、前板に側板の木口が隠れて見えないようにした(包み)ものです。
ほぞが蟻型をしているため、Photo.1 の矢印の方向の引っ張りに対して強い接合となるため抽斗の仕口によく使用されています。
Photo. 1 包蟻 (写真引用:https://ameblo.jp/my-kanna/entry-11387300311.html)
●包み接ぎ(つつみつぎ)
Photo. 1 に示しますように、2枚の板材の一方(board A)の木口を他方の板材(board B)厚さの幅で段欠き加工しそこで嵌め合う接手を包み接ぎと呼びます。
この接手の利点は、単なる打ち付け接ぎよりも接合する面積が増えるため強度がますことと木口領域が減り見栄えが良くなるということです。
簡単な構造であるため、抽斗の前板と側板の接合によく使われます。
なお接合部の強度補強のため、図のboard Bの面側から釘やネジを打ち付けた接合を包み打ち付け接ぎと呼びます。
Photo.1 包み接ぎ(写真引用:https://3dwarehouse.sketchup.com/model/2378b9519b8b9e369ca96b2737246fca/%E5%8C%85%E3%81%BF%E6%89%93%E4%BB%98%E3%81%91%E6%8E%A5%E3%81%8E)
●爪付きナット
2枚の金属製の板材を最も簡単に接続固定しかつ接続解除もできる方法を考えてみてください。
おそらくもっとも簡単な方法は、2枚の金属製板材に穴を開けボルトとナットで締結することではないでしょうか。
アナ部分に座繰りを入れてボルト頭部やナットを隠すことをすれば、より見た目は良くなります。
それでは次に金属製の板材ではなく、2枚の木製の板材を最も簡単に接続固定しかつ接続解除もできる方法とは何でしょうか。
金属製の板材の場合と同様に、ワッシャーを選択して2枚の木製板材に穴を開けボルトとナットで締結することで対応はできるかもしれません。
直感的には強い締結は難しいかもしれないという不安が残ります。
このような場合、爪付きナットとボルトの組み合わせという選択肢があります。
Photo. 1 をご覧ください。
写真左が、爪付きナットです。
内部にネジを切りナット状に加工された円筒とその円筒のつばに爪を付けた形状をしています。
写真右が、使用例です。
板材に円筒の外径を入れる通し穴を掘り、爪付きナットのつばを隠すため座繰りをいれてます。
写真左の爪付きナットを裏返し、穴部に挿入しつばに上部から下向きの圧力をかけつばの爪を木部に食い込ませ固定させます。
つなぐ相手の板材にボルトを通す通し穴を掘り込み、両者の穴を合わせてボルトと爪付きナットを締結すれば完成です。
写真右には存在した爪付きナットのつばを隠すため座繰りを省略しても見栄えは良くないですが機能的には問題ありません。
使用頻度の高いサイズの爪付きナットはホームセンターで入手できます。
Photo. 1 爪付きナット(写真引用:http://kappahanbesuki.blog94.fc2.com/blog-date-20150107.html)
●天板(てんぱん、てんいた):箱物の構成ご参照
●留め(とめ)、留め接ぎ
箱物で板材を直交させて接合する場合、Photo.1 に示しますように接合する木口を直角ではなく45度にして木口同士を密着させて接ぐ仕口を留め(とめ)あるいは留め接ぎと呼びます。
こうすることで木口を外側に出さずに組むことができます。
Photo. 1 留め接ぎ (写真引用:https://blogs.yahoo.co.jp/jirakudou001/35426779.html)
な~の
●貫(ぬき)
テーブルやいすといった脚物家具の脚部をつなぎ合わせて補強するための水平方向の部材を貫(ぬき)と呼びます。
多くの場合、貫は脚にほぞで接がれます。
建築用語では、木造建築の柱と柱を貫(つらぬ)いて構造的に固める横材を貫(ぬき)と呼びます[S2]。
貫の原意は、ここからきているものと考えられます。
は~ほ
●箱物の構成
箪笥、チェストなどの箱物の構造は、Photo. 1に示すように天板、側板、地板、台輪から構成されます。
Photo. 1 箱物の構成 (写真引用:https://item.rakuten.co.jp/kiriyasan/c/0000000352/)
●端ばめ接ぎ(はしばめつぎ)
1枚板あるいは矧ぎ板の木口に、同じ厚さの他の板を接合する仕口を総称して端嵌め接ぎ(はしばめつぎ)と呼びます。
接ぐ板を横木と呼び、同じ材の場合もありますが他の板材を当てる場合もあります。
端嵌め接ぎの目的は、1枚板あるいは矧ぎ板の反り・ねじれなどの狂いを防ぐため並びに木口面を隠し保護するためです。
技法としては、打ち付け端嵌め接ぎ、本核端嵌め接ぎ(ほんさねはしばめつぎ)、蟻形端嵌め接ぎ(ありがたはしばめつぎ)、通し枘端嵌め接ぎ(とおしほぞはしばめつ
ぎ),留め端嵌め接ぎ(とめはしばめつぎ)、本核留め端嵌め接ぎ(ほんざねとめはしばめつぎ)、通し枘本核端嵌め接ぎ(とおしほぞほんざねはしばめつぎ)などがあり
ます。
●挽き込み留め接ぎ
留め接ぎの一形態です。
単に45°で接ぐ留めー平留め接ぎと言いますーでは、木口同士の接合のため接着剤で固定しただけでは接着力が弱い問題があります。
皆様にも過去に購入したフォトフレームの留がはずれような経験はありませんか。
この問題を解決する手法の一つが、挽き込み留め接ぎとなります。
Photo. 1 の左側写真をご覧ください。
フレームの留外側に切り込みを挽き込みます。
そこに薄い板材(写真の褐色三角形板材)を挟み込み、接着剤で固定することで留め部の固定を強化する仕口を挽き込み留め接ぎと呼びます。
上記の薄い板材をかんざし(簪)、さね(核、実)、場合によってはちぎり(契)と呼びます。
職人さんでは挽き込み留め接ぎを、かんざしと呼ぶかたもいらっしゃいます。
かんざしの面とフレーム材の面は木口ではないので、接着剤により強固に接着されることで強固な固定が実現されます。
この技法はフレームだけでなく、Photo. 1 の右側写真のように箱物にも応用できます。
Photo. 1 挽き込み留め接ぎ(写真引用 :https://www.woodcraft.com/blog_entries/table-sawn-splines)
●抽斗(ひきだし)の構成
抽斗は、Photo. 1に示すように前板、側板、先板、底板から構成されます。
Photo. 1 抽斗の構成 (写真引用:https://item.rakuten.co.jp/kiriyasan/c/0000000352/)
●ビスケット接合
板と板の接合の手法です。
木製の楕円形の小片(ビスケット)を介して、Photo.1 に示しますように板どうしを接ぎます。
ビスケットの穴は、専用の電動工具であるビスケットジョイナー(ビスケットジョイントカッター)であけます。
Photo. 1 ビスケット接合 (写真引用:http://kagusi.com/archives/3943189.html)
●飛騨組子
飛騨地域に起源をもつ横桟と縦桟を互い違いになるように組んだ組子のことです。
伝統的建築用語では、互い違いに施工することを千鳥といいます。
そこで飛騨では、飛騨組子のことを千鳥格子と呼んでいます。
この辺りの事情に関しましては、MyBlog(⇒ 飛騨組子についてー千鳥格子に関しての疑問)をご参照ください。
Photo.1 をご覧ください。
これは自製の飛騨組子です。
なおこの飛騨組子(千鳥格子)の原理に関しましては、MyBlog(⇒ 飛騨組子(千鳥格子)の技法の原理)をご参照ください。
Photo. 1 飛騨組子
●平ほぞ接ぎ
2本の角材の男木(おぎ)のほぞの形状を平ほぞとした場合の接合の仕口を平(ひら)ほぞ接ぎと呼びます(ほぞの項を参照ください)。
平ほぞ接ぎには、胴付きの数に依り、片胴付き平ほぞ接ぎ、2方胴付き平ほぞ接ぎ、3方胴付き平ほぞ接ぎ、4方胴接ぎ平ほぞ接ぎの4種類があります。
●ブックマッチ
ブックマッチ (bookmaching) とは、板材をバンドソーなどで半分に挽き割ってFigure 1 のように本を見開いた状態にした2枚の板材の配置を指します。
この配置では、2枚の板材の木目模様が図の軸YY'を対象軸とした線対称に近接したものとなるため独特のシンメトリカルな意匠が得られます。
個人的には完全な線対称ではなく、板材をバンドソーなどで引き割った際の切りしろ数mm分の厚さ方向の木目のズレがあるため自然でありとても良い感じがあります。
Figure 1 の板材Aの木端Eaと板材Bの木端Ebを合わせてすり合わせ矧ぎにして、テーブルなどの天板に応用することがよく行われています。
このすり合わせ矧ぎした板材を、ブックマッチされたパネル (bookmached panel)と呼びます。
また、観音扉や引き違い戸の鏡板に応用することもよく実施されています。
Figure 1 ブックマッチ(写真引用:https://www.woodcraft.com/blog_entries/composing-with-grain)
●フラッシュ構造
フラッシュ構造とは、角材の芯枠で作ったかまちの内部に小角材を詰めて、かまちの両側を合板を接着した特殊合板です。
中空心合板とも呼ばれています。
最大の特徴は、軽量であることです。
量産化に適合し、ドアなどの建具材あるいは量産家具材に使われています。
Photo. 1 フラッシュ構造 (写真引用:http://i-zukan.net/ic/k_woodpanel.htm)
●ベタ底
●膨潤と収縮
木材は湿度と温度に応じて空気中の水蒸気を吸収あるいは含有水分を放出し、その結果膨らあるいは縮みます。
これを木材は膨潤あるいは収縮するといいます。
木材は主として吸湿すると膨潤し乾燥すると収縮するといえます。
その際に膨らむあるいは縮む程度は等方的ではなく異方性、すなわち木材中の方向によって違いがあります。
木材には、3種類の基本方向が存在します。
膨潤率の異方性は、およそ下記となります [L3]。
接線方向:放射方向:軸方向=20:10:1
●ほぞ
Photo.1に示しますように、2本の角材を直角で接ぐ場合を想定してみてください。
この場合、人類は一方の角材に突起物を形成しかつ他方の角材に穴を穿ち嵌め合わす手法を普遍的に行いました。
Photo. 1 2本の角材の接合
次に、Photo.2をご覧ください。
日本では、角材Aを男木 (おぎ)、角材Bを女木 (めぎ)と呼んでいます。
また、男木の突起物をほぞ(枘)、女木に穿いた穴をほぞ穴(枘穴)と呼んできました。
男木のほぞの根元の平面部を胴付きと呼びます。
この胴付き部は、角材Bの平面部と接触し両者の直角交差のベースを形成する重要な部位となります。
Photo.2 ほぞと胴付き
ほぞの形状は、ここに示しました最も単純な直方体形状ーこれを平ほぞ(ひらほぞ)といいますがーの他に、2重ほぞ、2枚ほぞ、小根(こね)付きほぞ、面越(めんこし)ほぞなど多種の形状があります。
●本核端嵌め接ぎ(ほんざねはしばめつぎ)
端嵌め接ぎの一つの技法で、板材(1枚板あるいは矧ぎ板)に核(さね)を作り、いっぽう板材に接合する横木に溝を掘ることで端嵌めをする仕口です。
Photo. 1 をご覧ください。
左手にある板材に横木を本核端嵌め接ぎで接合しようとする写真です。
板材には突起状の核が見え、横木にはその核と嵌め合う溝を確認できます。
Photo. 1 本核端嵌め接ぎでの製作風景(写真引用:http://siouxsaint-blog.ka-ta-chi.com/?eid=1045&PHPSESSID=ddp7a73mlb1l0jtv9l0fcuq2r6)
ま~も
●前板:抽斗の構成ご参照
●幕板(まくいた):脚物家具ご参照
●柾目(まさめ)
幹軸に平行でかつ幹軸を含む面に出現する木目を柾目と呼びます。
多くは縞状の模様が出現します。
また丸太を柾目が出るようにカットした板を柾目と呼ぶこともあります。
Photo. 1 を参照ください。
Photo.1 板目と柾目(写真引用:https://www.mituyasu.com/crust/1039)
●丸面取り
家具に装飾性をつけるため、家具を構成する板の木端、木口の角(稜)を丸める面取り加工を丸面取り(加工)と呼びます。
手仕事では丸かんなを用います。
機械加工では、木工機械のルーター、あるいはスタンドに設置した電動工具のルーター、トリマー、場合によってはルーター、トリマーを移動させて加工します。
この機械加工の際に用いるビットがボウズ面ビットと呼ぶものであることから、丸面取りをボウズ面取りとよぶこともあります。
ボウズ面とは本来は、加工断面形状が半円である場合の加工面を指すものと考えられます。
●見付(みつけ)と 見込(みこみ)
例えば、框を例に見付と見込を確認してみましょう。
Photo. 1 をご覧ください。
見付とは、正面から見える部分を指します[S2]。
また正面から見たときの材の幅寸法も見付と呼びます[S1]。
他方、見込とは側面から見える部分を指します[S2]。
また側面から見たときの材の奥行寸法も見込と呼びます[S1]。
Photo.1 見付と見込
●面取り
家具を構成する材の角(稜)に対して行う加工を面取りと呼びます。
使用する際の手触りをよくするために板材、角材に行う糸面取りや、ほぞ先の欠けを防止知るために行う入り面(ほぞ先)取りがあります。
その他、主に装飾用途で丸面取り、ボウズ面取り、ひょうたん面取り、銀杏面取りなどがあります。
手加工では、それぞれの面に応じて鉋があります。
他方機械加工では、ルーターを使用した加工となりそれぞれの面に応じたビットがあります。
や~よ
ら~わ
●螺旋組
まずは Photo.1 をご覧ください。
これが螺旋組です。
6本の角材を相互に60°で交錯させた木組みです。
竹で編みこんだように、6本の角材が互い違いにすなわち千鳥を構成しています。
なお、伝統的建築用語では互い違いに施工することを千鳥といいます。
飛騨組子(千鳥格子)を千鳥状正方格子とみれば、螺旋組は千鳥状六角格子とみることもできます。
螺旋組をわたし流には「らせんぐみ」と読んでいましたが、「ねじくみ」と読んでいるサイトがありました[1]。
「らせん」も「ねじ」も共通しているのはspiralの形状ですが、photo. 1をなぜ螺旋組と言うのかその起源は不明です。
Photo. 1 螺旋組
螺旋組は、3次元的ではなく2次元的木組みですから組子といってよいかもしれません。
組子では Photo.1 の文様を繰り返し単位として、2次元的に広げた文様を作ります。
組子では、螺旋組のような六角形上の文様を籠目(篭目)と読んでいます。
両者で差異が1点あります、それは籠目組子の場合は一般的には螺旋組のように千鳥状にはなってなく単純な相欠きで構成するという点です[2]。
ただ組子の場合でも、籠目を千鳥状で構成したものを特に地獄組の籠目という呼び方で表現しています[3]。
地獄組の意味は、一旦組んだら2度と外せないという意味です[4]。
また地獄組の籠目を本籠目とも呼んでいるようです[5]。
この地獄組という名称の意味を敷衍すると、螺旋組の読みは「らせん」ではなく「ねじ」の方に軍配があがりそうです。
なぜならば、「ねじ」も一旦締め付けたら緩めるのが困難ですので地獄に通じます。
[1]:http://cgi2.mediamix.ne.jp/~t9691/user-cgi/tubuyaki/cgi/wnewsp.cgi
[2]:https://www.tanihata.co.jp/products/minikumiko/kagome.htm
[3]:http://www.kudotategu.com/k2.htm
[4]:http://www.kudotategu.com/k4.htm
[5]:http://www.04u.jp/blog05081020.html
[参考文献]
[L1]: 職業能力開発総合大学校. 木工工作法. 職業訓練教材研究会. 2013. p177. ISBN978-4-7863-1096-6
[L2]: 大工道具研究会. 木組み・継手と組手の技法. 誠文堂新光社. 2017. p28. ISBN978-4-416-81113-9
[L3]: 職業能力開発総合大学校. 木工材料. 職業訓練教材研究会. 2013. ISBN978-4-7863-1096-6
[参考サイト]
[S1]:建具用語集
[S2]:住宅建築専門用語